陽点 心の中の太陽
「私 主人の前では 心を氷らせているから。」
そこまで 言う必要は なかったのに。
私は 言ってしまう。
誤解されたくなくて。
もう 富永さんは 特別な存在に なっていたから。
「えっ。何 それ。」
少し笑って 私に 聞き返す。
「何も見えない。何も聞こえない。何も感じない。主人と話しているのは 私の形をした ただの人形。」
私は 言ってしまう。
「ねえ、篠田さん。これから 俺の部屋に来ない?」
私の言葉に 驚いた顔をした後で 富永さんは言う。
私は コーヒーを 飲み干して 頷いた。