陽点  心の中の太陽

3月、美由紀は 地元の 国立大学に 合格した。


見栄っ張りの栄二は 有頂天で。

しばらく 機嫌の良い日が 続く。



美由紀は 駅前のファーストフード店で アルバイトを始めた。


夕方 バイトをして

家に戻ると もう 栄二は寝ている。


美由紀は 努力と 引き換えに 

穏やかな時間を 手に入れた。



当然 直哉の不満は 募る。



「ねえちゃん ずるいよ。俺も バイトしようかな。」




直哉の高校では バイトをしている友達も 多かった。


「パパに聞いてよ。勝手に決めると また 大変よ。」


夕食の間中 栄二の 話し相手にされて。


直哉を 可哀そうだと 思っていたけれど。



「チェッ。いちいち うるせえよ。」


直哉の気持ちは よくわかる。


反抗期なのに 我慢していると思う。



でも 私が 許可したら どんなことになるか



それは 直哉も わかっていた。




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