陽点 心の中の太陽
金曜日 私は 富永さんに会った。
「いよいよだね。大丈夫?」
私を抱き締めて 富永さんは 言う。
「どうだろう。私 刺されたりして。」
満更 冗談でもない思い。
音耳に水の 栄二。逆上して 何をするか わからない。
「止めてよ。久美子が言うと 冗談に聞こえないよ。」
「冗談じゃないの。そのくらい 危ない人だから。」
富永さんの胸に 顔を付けて 私が言うと
富永さんは 胸から 私の顔を 剥がし
「辛かったね、久美子。もう 頑張らなくて いいんだよ。」
と私の目を 覗き込んだ。
見る見るうちに 涙が溢れて 頬を伝う。
「大丈夫。全部 うまくいくから。」
富永さんが そう言って 私の頭を抱いた時
私は 声を上げて 泣いてしまった。