陽点 心の中の太陽
栄二に 話して アパートに戻ると
茶の間の テーブルに
ケーキとフライドチキンが 並べてあった。
「ママ。大丈夫だった?」
狭い玄関で 靴を脱ぐ私に 美由紀が言う。
「これからが 大変だよ。帰る時 灰皿を ぶつけられたわ。」
私が 背中に 手を伸ばすと
「直哉。証拠写真。ママ、シャツ 捲るよ。」
「わっ。赤くなってる。これ 痣になるよ。」
「マジ 最悪。」
子供達の 呆れた声も 明るい。
何枚も スマホで写真を撮る直哉。
どれほど あの家が 嫌だったのだろう。
襖で仕切っただけの 3部屋の 狭いアパート。
今までの家よりも 生活は 不便になるのに。