竜王様、ごはんの時間です!~グータラOLが転生したら、最強料理人!?~
 というか、それ、こっちが聞きたいんですけど。
 自宅にいたはずなのに、気がつけば空高くに瞬間移動してました。
 すっ転んで頭を打ってからの記憶がぜんっぜんないんですよ。
 そこんところは、不思議存在である竜(あなた)の方がよくご存じなんじゃないんですか?
「う~~~んと……」
「……」
 竜も、黙って私を見ていました。
 黒ヒスイのような、複雑な黒。とても綺麗な瞳の色に吸い込まれそう。
 その眼差しは急かしているのではなく、戸惑っている私を見守ってくれているように見えて、少しホッとしました。見かけは怖いけど、優しい竜なのかも。
 自分がどうしてこんな状況になったのか説明できなくて悶々と考えている間も、黙って待っていてくれました。
 長かったのか、短かったのか、曖昧な時間が流れた後、竜の方が先に視線を逸らし、話しかけてきました。
「……行くあてはあるのか?」
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