竜王様、ごはんの時間です!~グータラOLが転生したら、最強料理人!?~
 私をドキドキさせて楽しんでいるのかとも思うけど、黒ヒスイの目を細めて微笑む竜王様は、からかっている感じは……しない。
「フォーンも、ライラは小言ばかりと言うが、たまに褒めてもいるんだぞ」
「へ? フォーンさんが?」
「ああ。フォーンだけじゃない。トープも、ウィスタリアもだ。いきなりここに現れて心細かっただろうに、しかも初めはみなが冷たくしていた中でもへこたれず。よくやっていると」
 足を止め、私の瞳をまっすぐに見てくる竜王様。
 ここに来て初めて、料理以外のことで褒められたかも。少し、認めてもらえた、の、かな。
 急に鼻の奥がツンと痛くなると同時に、こぼれ出てきた大粒の涙。
「ラ、ライラ!?」
 竜王様が慌てています。
「あれれ?」
「どうした?」
「いや……あの……ちょっと気が緩んだみたいです」
 自分でもびっくりしています。だっていきなり涙があふれてきたんだから。
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