竜王様、ごはんの時間です！～グータラOLが転生したら、最強料理人!?～

　記憶をなくしたまま（忘れたまま？）、ずっと竜王城で楽しくスープ係やっていたかったな～。まあ今さら言っても後の祭りか。
　お腹も減ってきたし、やることないし、ふて寝しようかな。寝るのは天才的に得意なんで。
「明日は明日の風が吹く、ってね。おやすみ～」
　いつまでこの監禁が続くのかわからないけど、明日はなにか食べ物ください。

　どれくらい経ったのかわからないけど、とにかくひと眠りしたくらいの時間。
「ライラ、起きて」
　突然揺り起こされました。
「……ん」
「起きて」
　押し殺した声だけど……これはマゼンタ？　マゼンタがなぜここに？
「マゼ……っむぐ」
「しっ！」
　びっくりして大きな声を出しかけたけど、マゼンタに口を塞がれました。
「どうしてここに？」
「いいから。早く逃げて」
「え？」
「私と一緒に厨房まで来て。そしたらそこから逃げられるように手はずが整えてあるから。はい、これ着て」