竜王様、ごはんの時間です!~グータラOLが転生したら、最強料理人!?~
 マゼンタは私にフード付きのマントのようなものを手渡しながら、手早く説明しました。
「逃げるって? 逃がしてくれるってこと?」
 マントを着ながらマゼンタに聞きました。
「そう。ここにいて黙って処罰が下るのを待つよりいいでしょ?」
「でも……でも! 私、ヴァヴェルから派遣された、いわば『敵』なんだよ? ひょっとしたら指示通りヴァヴェルを手引きするかもしれないんだよ?」
 いや、しないけどね。
 でもそんな危険性もあるわけだし……とマゼンタに詰め寄りました。
「ライラはそんなことしないわ。いつでも楽しそうで、でも一生懸命で。私たちの働き方や雰囲気まで変えてくれたあなただもの」
 マゼンタはふふふ、と笑っています。
 全面的に信用されている……! やっぱりこの国の人たち、いい人です!
 不覚にもちょっと泣きそうになりました。
「不審者の私を受け入れてくれた人たちだもの、絶対に裏切れないわ」
< 253 / 371 >

この作品をシェア

pagetop