竜王様、ごはんの時間です!~グータラOLが転生したら、最強料理人!?~
 門からヴァヴェル兵……ではなく、私の背後から、ニュッと顔を出してきたのはまさかの竜王様。
 ちょ、あなた! 寝ていたんじゃないんですか!?
「はっは~! りゅ、竜王様!」
 びっくりするんでいきなりの登場やめてもらえませんか? かまどの火のみの薄暗い中でもイケメンですね! ……じゃなくて。
「いい匂いにつられてな。ひと口──」
 こっちは驚きでワナワナ震えているっていうのに、竜王様は平然と大鍋に寄って、中のスープを飲もうとしているし。
 そうそう、匂いだけじゃなく味もいいんですよ~……じゃないじゃない!
「あっ、食べちゃダメです! これには睡眠薬が──」
「知っている」
「知ってる!?」
 なんですって!?
 竜王様、涼しい顔して『知ってる』って!?
「ななななななんでっ!?」
「本気で、余がそなたたちの動向に気づかないとでも思っていたのか?」
「ぐぅ……」
 まあね、たしかに。
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