竜王様、ごはんの時間です!~グータラOLが転生したら、最強料理人!?~
「そうですね。新鮮なお魚を新鮮なまま持っていける距離なんですよ」
 少し沖合に出れば氷山があり、そこから氷を切り出して保冷剤にして都に運んでくるそうです。
「でも都から半日くらいの距離じゃ、ど田舎ってほどじゃなくないですか?」
「いやもう、ほんとにど田舎なんです」
 真面目な顔をして言うマルーンさん。
「大きな港があるわけじゃないから、都との定期馬車も走ってないですし、欲しいものも、こうした行商の人頼みですもの」
 マルーンさんが指すのは荷台に載せられた荷物たち。そうか、これは村の人からの頼まれ物もあるんだ。
「でも貧しいわけじゃないんですよ。うちの村でしか獲れない魚介が、都では高値で売れるんでね」
「あ~、たしかにいつも持ってきてくださるお魚は、めっちゃおいしいですよね」
「でしょう?」
 少し得意げに微笑むマルーンさん。
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