竜王様、ごはんの時間です！～グータラOLが転生したら、最強料理人!?～

　ボルドーさんところの魚介が入荷する日は、いつも以上にお客さんが来ますもん。常連さん、そういうところのチェックが早いし。
「うちじゃないですけど、竜王城にも納品しているお店もあるんです」
「さすが高級魚ですね」
　じゃあ、私が竜王城にいた時、知らないうちにボルドーさんたちの村から来たお魚を調理していたのかもしれませんね。
「新鮮なお魚を出してくれるお料理屋さん、すごく楽しみです」
「お義母さんのお料理は本当においしいんですよ！　ただ……」
　それまで楽しそうにおしゃべりしていたマルーンさんの表情が少し曇りました。
「ただ？」
「ちょっと辺ぴな場所なので、お客様があまり来ないのが玉にきずなんです」
「辺ぴ？」
「はい。お義父さんが『眺めのいいところにお店を出そう』って言ったもんだから、村の中心部から離れた、海にせり出した崖の上にお店があるんです」