竜王様、ごはんの時間です！～グータラOLが転生したら、最強料理人!?～
　お客様がいないので、休憩がてらふたりで話をしていたら、カランカラン、と扉の上につけている鐘が鳴りました。
　お客様がいらっしゃったようです。
「いらっしゃいませ」
　入り口を見れば、シュッと背の高い男の人がいました。おひとり様です。
「こんな中途半端な時間にお客様ですね」
「そうね」
　ふたりで時計を見れば、まだ午後の四時過ぎ。ランチには遅く、夕飯には早すぎる時間です。
「レイラはキッチンに戻って。私が接客するわ」
「わかりました」
　いそいそとお客様のところに向かうシャトルーズさんを横目に、私はキッチンへと下がりました。
　誰もいない時間だから、店で一番眺めのいい席に通されたそのお客様は、暗い色の外套を着て、フードを目深にかぶっていました。
　キッチンからこっそり見るに、パッと見は旅人のようです。
　その人は席に着いても外套を脱がずフードをかぶったままでした。
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