隣の席で青春くん
「ね、ねぇ赤澤くん…本気?」
「本気だけど」
「たまたまバレたからってー…赤澤くん、私の事嫌いでしょ?」
「何で?」
何でっ、て…
私は教室で翔子と騒いでいたのを思い出す。
「だって、私…yuzuの事、性格悪そうって言ったし…」
「俺の事嫌いなのはそっちでしょ?」
「へ?」
「俺の事嫌そーに見てくるし、態度でもろ分かりだよ。まぁいいけど」
赤澤くんは欠伸をして壁にもたれ掛かる。
「そりゃ…確かに苦手だけど」
「まぁ俺口悪いからね。あんま人から好かれないから」
「その分顔で好かれてんでしょ…」
「何か?」
「いえ、なんでも」
掛けられた上着に顔を隠す。
爽やかな、少し甘い香水の匂いがした。
「で、マネージャーって…具体的に何をすればいいの?」
「実際には口裏合わせとか、俺の都合が悪い事の助けみたいな感じ。まぁ、諸々は都度教えるよ」
「まぁ…私に出来ることなら」
そんな難しそうじゃないし…多分、大変ではないよね。
私は部活にも入ってないし、それで赤澤くんの助けになるなら別に…やってもいいかな。
「了承したからね。明日からよろしく」
目を細めて笑う赤澤くんに、もう私は従うしかないのだ。