隣の席で青春くん
「連絡先聞いてなかった」
「え?」
「連絡先、教えて」
赤澤くんが、ポケットから携帯を出す。
…有名人の連絡先をゲット出来る日が来るとは。
「は、はい…」
私から携帯を受け取ると、赤澤くんは慣れた手つきで2台の携帯を操作する。
その伏せ目がちな表情が、またかっこいい。
「…赤澤くんて、伊達メガネ?」
「何で?」
「yuzuの時はメガネしてないから…」
「いつもはコンタクト。メガネの方が楽だしバレにくいしね」
「へぇ…」
「はい」
渡された携帯の画面を見ると、赤澤くんの連絡先が表示されてる。
「あ、ありがと…」
あ、か、ざわくん…と。
登録名を記入して、携帯をしまう。
「赤澤くんは徒歩通勤?」
「予定がない日は電車だよ。撮影とか入ってる場合はマネージャーが迎えに来る」
変装してるといえど、yuzuが普通に公共の電車に乗っているなんて…
「今日は何も予定ないから電車だよ。佐伯さんは?」
「私も電車…」
「じゃ、一緒に帰ろ」
「へ!?」