隣の席で青春くん
「六花は?」
「置いてきた」
「置いてきたって……じゃ、屋上戻ろ」
やれやれ、と肩を落とす葵くん。
皆で屋上へ戻ろうとした瞬間、赤澤くんの低い声が葵くんを呼んだ。
「葵」
「なに?」
「お前、何か余計なこと言ってない?」
「……言ってないよ」
「…なら、いいけど」
「……」
少し焦った様子の葵くんが、私に目配せをする。
さっきの、内緒ね!と口パクをする。
私も、分かったよ!と小さく返事をした。
「佐伯さん」
「っはい」
「今日、時間ある?夜」
「へ……」
「ちょっと“マネージャー ”の仕事」
そう言ってニヤリと笑う赤澤くんに背筋が凍った。