隣の席で青春くん
「……それで赤澤くん、マネージャーの仕事って…」
あの後すぐに解散した私たちは、赤澤くんと一緒に学校を出た。
「俺ん家行きたいんだけど…」
「へぇ!?」
「変な意味じゃないから」
い、家って……yuzuの家!?
大人気モデルの家に、私が…?
「でででで、でも…」
「ここからちょっと遠いから、タクシー拾うね」
「えぇ…」
赤澤くんはそう言うと、慣れた様子でタクシーを止める。
バタンっ
「○○までお願いします」
「はい、ありがとうございます」
タクシーが動き出すと、赤澤くんは一息ついてウィッグとメガネを外す。
紛れもなくyuzuの姿になった赤澤くんに見とれる。
「なに?」
「い、いや別に……」
今から、ほんとにyuzuの家に行くの…?
どうしよう、心臓が…!
「…佐伯さんさ」
「へぇ!?」
「なんて声出してんの」
「ごめん…」
「佐伯さん、ずっとこの街に住んでんの?」
「え?」
意外な質問に驚く私。
けれど、赤澤くんの真剣な表情に私も背もたれに深く項垂れる。