隣の席で青春くん
「え…」
「佐伯さんさ、俺らの何を知ってる訳?何も知らないくせに、勝手なこと言わないでよ」
冷たい声が耳奥に響く。
赤澤くん、怒ってる…
「ご、ごめんなさい…」
「何も、知らないくせに…」
確かめるように呟いた赤澤くん。
握られた手の震えが、私のか赤澤くんのか分からない。
「赤澤、くん…?」
「…ごめん」
「えっ」
パッと離された手がジンと熱を帯びている。
…悪いのは、私なのに。
赤澤くんは、怒っているというか…
切ない表情をしていた。
「あの、赤澤くん…ごめんね。勝手に1人で盛り上がっちゃって…」
「…」
「二度と言わないから…許してくれる?」
赤澤くんを見上げると、赤澤くんは泣きそうな目をして、少し笑った。
「行こ」
そう言って、私の頭を撫でた。
その表情が、脳裏に焼き付いて離れなかった。