隣の席で青春くん
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「…さん」
「…」
「佐伯さん」
「へっ?」
肩を揺すられ、漫画の世界から現実に戻される。
気づけば、辺りは真っ暗で。
「凄い集中力だね。俺が声掛けなかったら一気に読みそう」
「あれ…今何時!?」
「もうすぐ9時。だから声掛けたんだけど」
「9時!?」
慌てて本を置いて携帯を確認する。
すると、鬼のように親から着信やメールが入っていた。
やや、やややばい……怒られる。
サーっと青くなる私を見て、赤澤くんが手を差し出す。
「貸して、携帯」
「え?」
「遅くなったのは俺の責任だから。佐伯さんの親に俺から謝る」
「え、いいよそんな…」
「いいから」
私から携帯を受け取ると、赤澤くんは立ち上がって電話をかけた。
「……あ、もしもし。こんばんは。遅くにすいません。実はー」
話しながら、赤澤くんは部屋を出ていく。
「…大丈夫かな」
私の親、そんな都合よく許してくれるタイプじゃないんだけどな…
少しソワソワしながら、赤澤くんが帰ってくるのを待ちつつ帰りの支度をする。