隣の席で青春くん

ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー



「…さん」



「…」



「佐伯さん」




「へっ?」



肩を揺すられ、漫画の世界から現実に戻される。




気づけば、辺りは真っ暗で。




「凄い集中力だね。俺が声掛けなかったら一気に読みそう」




「あれ…今何時!?」




「もうすぐ9時。だから声掛けたんだけど」




「9時!?」



慌てて本を置いて携帯を確認する。


すると、鬼のように親から着信やメールが入っていた。



やや、やややばい……怒られる。


サーっと青くなる私を見て、赤澤くんが手を差し出す。




「貸して、携帯」




「え?」



「遅くなったのは俺の責任だから。佐伯さんの親に俺から謝る」




「え、いいよそんな…」




「いいから」



私から携帯を受け取ると、赤澤くんは立ち上がって電話をかけた。




「……あ、もしもし。こんばんは。遅くにすいません。実はー」




話しながら、赤澤くんは部屋を出ていく。




「…大丈夫かな」




私の親、そんな都合よく許してくれるタイプじゃないんだけどな…



少しソワソワしながら、赤澤くんが帰ってくるのを待ちつつ帰りの支度をする。





< 43 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop