隣の席で青春くん
「ちょ、赤澤くん…!」
「じゃ、そういう事だからよろしく。俺先に部屋片してくるから」
赤澤くんは椅子をひいて私を座らせると、2階へと戻っていく。
「…」
赤澤君のお母さんの2人きり…!?
き、気まずい…
「ごめんね〜勝手な事ばっかり。柚月のペースに巻き込まれたんでしょ」
赤澤くんのお母さんは優しく笑って紅茶を出してくれる。
「い、いえ、そんな…すいません、その…泊まりなんて」
「全然いいのよ。服はあの子のお姉ちゃんのがあるから。それを着なさいね」
「お姉さんいらっしゃるんですか?」
「ええ。でも、今は留学中でいないから気にしないで」
「留学中…カッコイイですね」
「ぜーんぜん、そんなんじゃないのよ。気まぐれなの。姉弟そろって」
赤澤くんのお姉ちゃん…さぞかし美人なんだろうな。
「今日はお父さん遅いらしいから、先に食べちゃいましょ。はい、お口に合うかしら」
テーブルに置かれたご飯から、食欲を擽られるいい匂いがする。
「美味しそう…!」
「あら〜嬉しい。どうぞ、食べちゃって」
「は、はい!いただきます」
可愛い食器に、綺麗なお花が飾られたテーブル。
色とりどりのご飯が並ぶ背景に、綺麗なお母さん。
どんな映画のワンシーン?これ……
「美味しい!」
「よかった〜!ほら、これも食べてみて。これもこれも」
「は、はい」
目の前に差し出される次々の品に、困惑しながらも口をつけていく。
お世辞抜きで美味しいご飯に、終始箸が止まらなかった。