隣の席で青春くん
「はい。佐伯さんには少しでかいかも」
「あ、ありがとう」
赤澤くんは、適当に上下の着替えを手渡してくれた。
「風呂はそこの突き当たりだから」
「うん…」
「何でも好きにつかってくれていいから」
赤澤くんはそれだけ言うとリビングへ行ってしまった。
「…」
なんで泊まる流れになったんだろう…
〜♪〜
ポケットの中の携帯が鳴り、画面を確認するとお母さんからのメールだった。
『失礼のないようにね。楽しんで!』
「…」
楽しんで、って…何を。
お母さんがこんなメールを寄越すなんて。
赤澤くん…お母さんに何を言ったんだろう。
ガチャ
「…うわぁ」
さすが、豪邸なだけあってお風呂場も桁違いだ。
これ、全部大理石?
汚れがないと、逆に落ち着かない…
全部高そうだし…使うの申し訳ない。
急いで身体と頭を洗い、髪をたばねて湯船に浸かる。
少し温まったらすぐに出よう…
いつもよりいい匂いがする自分がなんだか恥ずかしくて、キラキラしている洗面台で顔を洗う。
ふわふわのタオルを身につけて、髪を下ろして一息つく。
「…緊張するなって方が、無理だよね」
だって私は今、赤澤くん…いや、あの大人気モデルのyuzuの家にいるんだもん。
しかも、お泊まりなんて…どれだけの女の子に恨まれるだろうか。
下手したら、ファンに刺されちゃうよ私。
「ていうか、ここの化粧品とか使っていいのかな…」
全部高そうだし、変に使えない…
赤澤くんに聞いてからの方がいいよね。