隣の席で青春くん
その子は少し変わっていた。
「ねー、なに読んでるのー?ねー」
「…」
「わー、すごい、字きれいだねー!」
特に反応を見せている訳じゃないのに、その子は執拗に俺に話しかけてきた。
「ねー、それおもしろいの?」
「…なんで話しかけてくるの?」
「え?」
「君は女の子なんだから、女の子同士であそびなよ」
「なんで?じゃあ、男の子と女の子はお友達になれないの?」
…鬱陶しかった、めんどくさかった。
何で、俺に構うのか謎だった。
「…そうだよ。女の子は、男の子と友達にはなれないよ」
「…」
シュン、と泣きそうな顔になったその子に心が少し痛んだが、すぐに気にしなくなった。
俺はその頃女の友達なんて欲しくなかった。
外で遊ぶようなクラスメイトに、誘って欲しかった。
女に話しかけられてる姿なんて、クラスメイトに見られたくなかったのだ。