隣の席で青春くん
結局、俺が学校に行けるのは六花と会話してからしばらく経った日だった。
「いやぁ、成績優秀で凄いよ。自分で勉強しているのかい?」
クラスに行く前、少しの間校長と話す時間を作られた。
「まぁ」
「前の学校では色々あったと思うけど、私からすれば君もみんなと変わらない一般の生徒だ。何も気にしなくていいからね」
「…はい」
「…ところで赤澤くん」
「なんですか?」
「ここに…サインしてくれんかね?娘が…好きなんだ」
「…」
校長との話も終わり、一旦鏡で自分の姿を確認する。
分厚い眼鏡、黒髪のウィッグ、口元を隠すマスク。
…我ながら怪しすぎる。
yuzuって事はバレないとしても、逆に目立たないか?これ…
まぁでも学校に毎日来れるわけじゃないし、変人扱いされた方が人を寄せなくていい。
ガラララッ
自分のクラスを確認して扉を開けた瞬間、全員の視線がこちらを向く。
担任に言われるまま後ろの席に腰を下ろす。
「…あの、よろしくね?」
隣から聞こえてきた声に視線だけ向けると、自分の心臓が大きく脈打つのを感じた。