隣の席で青春くん
「あれ?彩ちゃん」
教室を出て職員室へ続く廊下を曲がると、そこには葵くんが立っていた。
「あれ?葵くんも職員室に用事?」
「まぁねー。いい用事じゃないんだけど」
そう言いながらペラっと原稿用紙を見せる。
「何それ?」
「反省文」
「反省文!?なんの?」
「ピアスでしょ、ベルトでしょ、カーデ…」
「…もういいよ」
テヘッと笑う葵くんに呆れる。
ミスター校則違反だな彼は。
「彩ちゃんは?なんの用事?」
「あぁ、私は文化祭の事でね。葵くんのクラスは喫茶店やるんでしょ?」
「あーそうそう。喫茶店なんだって」
つまんないよねー、と葵くんは肩を落とす。
「喫茶店が無難でいいって」
「彩ちゃんのとこは?何するの?」
「お化け屋敷だって〜」
「えー!お化け屋敷!?いいなぁ〜!」
「っわ!」
ガバッと後ろから手を回してきた葵くんに驚いて身体が固まる。
「ちょ、葵くん…!?」
「いいなぁ〜お化け屋敷〜彩ちゃんは何役するの?」
「いやそれはまだ…って離れてよ葵くん!」
「え〜彩ちゃんいい匂いするも〜ん」
「ちょっと…!」
「おはよう」
周りの声が聞こえなくなるくらいの低い声が耳に届いた。