隣の席で青春くん
柚月に連れられて、無言のまま家まで案内される。
「…」
タクシーの中でも無言だったし…今だって、明らかに不機嫌そうである。
「…」
なに、さっきの葵くんの事で怒ってる…?
でも、柚月が怒る要素がどこにー
「あのさ」
「っは、はい」
部屋に入ってしばらくして、ようやく口を開いた柚月。
「葵に懐かれすぎじゃない?」
「え…そう…?」
葵くんて、結構誰にでもああいう感じだと思うけど…
フレンドリーだし、人との距離近いし…六花ちゃんにだって、あんな感じだし。
…私だけじゃないと思うけど。
「…あ、もしもし。俺だけど」
柚月がどこかに電話をかけ始めたので、とりあえず部屋のソファに腰を下ろす。
「うん、その日…そうそう。取れる?分かった。じゃね」
しばらくして携帯をしまう柚月。
「誰と電話してたの?」
「マネージャー。文化祭の日、休めないかと思って」
「え!?」
「2日間のうち片方なら休めそう」
「え、ほんと…?」
「葵が変なことしそうだし」
…葵くんのこと、見張る目的…?