世界No.1の総長と一輪のはにゃ
詩優side
倉庫からマンションの部屋へと帰る前、コンビニに寄って、花莉が好きなプリンを買った。
花莉の喜ぶ顔が見たくて急いで部屋へと帰ったんだけど……
「にゃあ」
ガサッ
部屋にいた人物を見て、思わずコンビニの袋が手から滑り落ちた。
両手両足を床について、俺の足元に頬を擦りつけながら動き回る小さい人物。
俺の好きな女の子──花莉に似ている、ように見える。
けど、違う。
頭からはぴょこんとふわふわそうな黒い猫耳が生えているし、長くて黒い尻尾だって生えてる。何より、この子は小さい。
幼稚園生くらいの大きさ。
俺の知ってる花莉の背丈は確か、150センチちょっとだった。
だから、この子は花莉じゃない。
花莉じゃないんだ。