最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
総支配人への想い
「申し訳ありません。しばらくお待ちください」


コンシェルジュカウンターに、スペイン語を話すお客様が来られた。


近くにスペイン語を話せる従業員がいなかったので、私はすぐに話せる人を呼ぼうとした。


その時、私の前を颯爽と通り過ぎる1人の男性がいた。


「総支配人!!」


その呼び掛けにすぐに反応して、総支配人がこっちに来てくれた。


「スペイン語、お願いします」


それだけ言うと、あっという間に会話が始まった。


お客様も、完璧なスペイン語を話す目の前の男性に感心したようで、笑顔で握手をかわし、満足そうにその場を離れていった。


「ありがとうございました」


我がグレースホテル東京の総支配人、深月 絢斗(みつき あやと)。


29歳にして総支配人なんて、本当なら有り得ないかも知れないけど……


この人は、このグレースホテル東京の創始者、深月 栄作の孫に当たる、つまりは――


そう、深月グループの跡継ぎである御曹司なんだ。
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