それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
お姉ちゃんは、わたしを「ちな」って呼ぶ。
さっきまでわたしの隣にいた藍田くんを見て、不審そうな顔をしていた。
「あ、友達っ。えーと、図書館友達……? 藍田くんだよ」
変な友達枠の名づけをしてしまってけど、友達ではあるからいいよね……?
藍田くんを振り返ると、大天使の笑顔になった。
「はじめまして。藍田玲哉っていいます。千波さんと仲良くさせてもらってます」
仲……いいか? わたし昨日、頭突きして逃亡したんだけど……。
あ、あれだ。社交辞令というやつだろう。
けれど藍田くんに返されたお姉ちゃんの笑顔も何か含みのあるものだった。
「ちなの姉の千聖です。妹がお世話になっているようね。……だいぶ前から」
「? お姉ちゃん、藍田くんとは昨日友達になったんだよ?」
昨日ってだいぶ前……かな? 人によってはそういう人もいるかもしれないけど……。
「藍田くん? よかったらあがってく? 今なら両親いるから」
え! なんで藍田くんをお父さんお母さんに紹介するの⁉ まさかお姉ちゃん、わたしの彼氏とか誤解してる⁉
「おね――」
「いえ。そこまでお邪魔は出来ません。お姉さんも帰っていらしたばかりでしたら、家族団らんされた方が。――今は」