それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
わたしも、自分の左頬に手をあてる。
「……この話すると、お姉ちゃんとお母さん、にやにやするよね?」
「うん」
「お父さんは不機嫌になるよね?」
「そうね」
「……なんで?」
結局意味がわからず首を傾げると、お姉ちゃんは「おとぎ話なんだけどね」と話し出した。
「いつの時代かの中国の話で、皇帝に若い側室がいたんだって。で、側室が同い年くらいの皇帝の息子と仲良く話してるのを浮気だと思った皇帝は、側室を処刑してしまった。息子の方から話しかけていて、自分のせいで処刑されてしまったことを申し訳なく思った息子は、来世があるなら罪滅ぼしをさせてくれ、そのためのしるしをのこしておく、って言って、額にアザをつけたんだって。それが伝説になって色々転じて、体のどこかに生まれつきアザがある人は、それは前世の恋人が、生まれ変わっても見つけるための目印、っていう話」
「……ドロドロしてるなあ。……ん? じゃあわたしのこれも、それって言いたいの……?」
「そういうことね」
にんまり笑うお姉ちゃん。いやいや、それはおとぎ話――
『やっと逢えたから』
『……もっと早くに見つけてたら……』
昨日の藍田くんの言葉が、頭によみがえった。