それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
藍田くん色々と言ってくるけど、告白されたわけではないし、わたしから返せることなんて……。
「……ちなは、藍田くんとは初対面、って認識なんだよね?」
「……うん」
「なら藍田くん、性急なことはしないかもね。いつかちなが思い出してくれたら、とか、だんだん好きにさせるとか考えそう」
……お姉ちゃんの言い分、なんとなく肯けてしまう……。でも、さ……。
「たとえばその伝説? の通りだったとしても、わたしが藍田くんの恋人……だった人、本人なわけじゃないんだよ? なんていうか……義務的に好きになってもらうの、申し訳ない……」
わたしは、坂野千波でしかない。
前世の記憶もなければ、藍田くんのことも知らない。
「別に、好きになる理由なんてなんでもいいじゃない?」
「え?」
「藍田くん、相当ねちっこくて執着心強いよ。でも、ちなが誰を好きになるかがちなの自由なように、藍田くんが誰を好きになるのも、藍田くんの自由だよ」
「………」
「ちなが藍田くんをどう思ってるのかわからないなら、今は友達の距離にいるだけでいいよ。気持ちが動くか動かないかは、ちなと藍田くん次第なんだから」