それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】

「わたしは大丈夫だけど……ドアの前でお姉ちゃんが聞き耳立ててる」

「ちっ。気づかれてたか」

……お姉ちゃん、なにやってんの。

「藍田くんー。私自分の部屋戻るから、思う存分話してねー」

「お姉ちゃん⁉」

捨て台詞のようなものを残して、離れていく足音が聞こえた。

『お姉さんからゆるしももらったことだし、話してもいい?』

「……どうぞ」

『さっきの……ちゃんと伝えなくちゃと思って電話した。本当は、ちゃんと面と向かって告白するつもりだったんだけど』

藍田くんの声の響きが、今まで聞いていたものと違う。

……緊張してるように聞こえる。

「……冗談やからからいじゃない、ってこと?」

『本気だよ。……けど、千波ちゃんに申し訳ないこと、した……』

それって……。

「さっき、お姉ちゃんから聞いたの。……生まれつきのアザの、伝説」

『……うん』

こくり、とつばを飲み込む。わたしも緊張してきた……。

意を決して、たずねる。

「藍田くん、なの……?」

これを、のこしたのは――

『そうだよ』

一呼吸おいて、藍田くんが続けた。

『それつけたの、俺だよ?』

< 33 / 87 >

この作品をシェア

pagetop