それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
「あ、ちな。悪いけど適当にお菓子買って来てもらっていい? なんもないわ」
カウンターの下の戸棚を開けた千聖さんが言った。
「わかった。お姉ちゃんはチョコ?」
「うん。いつもの」
「玲哉くん、何がすき?」
「俺まで気にしなくていいよ。ってか危ないから俺行ってくるよ」
「コンビニすぐだから大丈夫だよ、藍田くん。それに――藍田くんにちょっと話したいことあるんだ」
目を細めて俺を見て来る千聖さん。
……やっぱりな。
「わかりました。千波ちゃん、スマホすぐ取り出せるようにして、危ないことあったらすぐ連絡してね?」
「うん。行ってくるね。あ、お姉ちゃん。玲哉くんのこといじめないでよ?」
「いじめないよ。じゃ、お願いね」
行ってきまーす、と千波ちゃんを玄関で見送った。
リビングに戻った俺を待っていたのは、カウンターに背中を預けてコーヒーカップを傾ける千聖さん――だった。
「まったく。来るのが遅いのよ、『私』」