それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
鋭く睨んでくる千聖さん――いや、『俺』。
「やっぱわかってたか。『俺』」
「当たり前。『私』だけ記憶持ってて私が憶えてないわけないでしょ」
「ほんとややこしいな。前はひとりだったのに、今は二人とか。しかもなんで『俺』が千波ちゃんの姉なんかに生まれてんだよ」
「知らないわよ。ちなのこと大事過ぎたからじゃない?」
――坂野千聖。千波ちゃんの今の姉であり、前世では千波ちゃんの恋人だった。
……俺の半分、半身とも言うべき存在。
前世の俺は、生まれ変わるとき、二人に分かれた。
一人が俺、藍田玲哉で、もう一人が坂野千聖。
「あのさ、頼むから女言葉やめてくんない? 自分がオネエになったみたいで複雑なんだけど」
「私は今は女なんだから問題ないでしょ。私的には前世は、女同士で恋愛してた感覚なの」
「やめろおおお! 余計複雑にすんじゃねえええ!」
ただでさえ説明のしんどい話なんだから、余計な爆弾ぶち込むな!