それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
「ごめんなさいね。こちらから呼んだのに……。次はお昼を食べて行ってね」
「ありがとうございます」
軽く頭を下げる玲哉くん。
うーん、同い年かと疑うほど落ち着いているなあ。
お母さんとはうまくやっていけそうなことには安心したけど……父よ。
帰る玲哉くんを見送るために玄関にいるのはお母さんとわたしだけだ。
お姉ちゃんはお父さんが怒鳴りださないようにリビングで睨みをきかせている。
「わたし途中まで――」
送る、と言おうとしたら、玲哉くんがにこっと笑った。
「大丈夫だよ。それより空気悪くしちゃってごめん」
「玲哉くんは悪くないよ。何度も言うけど」
わたしが否定すると、玲哉くんはなんとも言えない顔になった。
本当に玲哉くんに非なんてない。
なんであそこまで騒ぐんだか……相当なシメられ方したのかな?
ぽん、とお母さんがわたしの肩に手を置いてきた。
目線だけで振り返ると、真っすぐに玲哉くんを見ていた。
「玲哉くん。娘のこと、よろしくお願いしますね」
お母さんが穏やかな声と表情で言った。
……こういうの、なんか嬉しい……。玲哉くんと一緒にいることを認めて、応援してもらえているみたいで……。