それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】
side千波
「………」
「………」
お姉ちゃんの話を聞いて家へ直帰した。
そして今、書斎にこもっていたお父さんの真後ろに無言で突っ立っている。
「………」
「………」
「なんだ、千波」
お父さんが机に向かったまま喋った。
「無言の圧」
「……悪質な。なんか言いたいことでもあるのか」
そこでやっと、回転椅子を回してわたしの方を見て来た。
「玲哉くんとのお付き合い、お父さんに反対されたままでは困る」
「………」
お父さんは見た目に明らか、ぶすっとした表情になる。
「玲哉くんと玲哉くんのお父さんは別人で別の人格だよ」
「お前は藍田先輩の怖さを知らないからそう言えるんだ。あの人の息子なんて恐ろしいだけだ」
はあ……お父さんはお父さんで、玲哉くんではなく玲哉くんのお父さんへの積もり積もったものを解消できずにいるのかな。
「……それでもわたしは玲哉くんがすきだよ」