それつけたの、俺だよ?-六花の恋ー【完】【番外編2完】

「ふうん?」

「いや、あの?」

「そうなんだー。……由羽と景今度総真押し付けてやろう」

なんか物騒なことつぶやかれませんでした? 碓氷くんって一体どんな扱い受けているんだろう……。

「そうだ。今度は母さんにも逢ってね、千波ちゃん」

「あ、うん。……じゃなくて、どうしたの? さっきからなんか……」

雰囲気が黒いですが……とは言わなかったけど。

玲哉くんがまた天使の笑みを見せたから。

「なにもないよ。じゃあ、今日はここで」

「うん。気を付けてね」

「千波ちゃんもね」

軽く手を振って、離れていく玲哉くんを見送る。

「―――玲哉くん!」

声を大きくして呼ぶと、玲哉くんが振り返った。

なんだかわからないけど、これは言って置かなくちゃ。

「あの……、ありがとう、見つけてくれて」

わたしを、見つけてくれて。もう一度、出逢ってくれて。

ありがとう。

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