イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


花びらを掴んだ。

私の髪にかすかに触れる。

その指先から伝わる熱が、じりじりと熱くて、私の鼓動を加速させる。


ドキ、ドキ、ドキ、ドキ───…


ゆっくりと指先が離れていくと、恐る恐る目を開ける私。

花びらを優しそうな瞳で見つめる向葵くん。


「ふう〜っ」と花びらに息をかけて、それがふわり、ふわりと飛んでいく──


そのあとすぐに視線を私へと移す向葵くん。


「今はまだお互い手探りで恋を見つけてるけどさ。ちゃんと分かったそのときは、結衣ちゃんに一番に聞いてほしいな」


そんな言葉を残した向葵くん。

私は、終始ドキドキしっぱなしで、それに答えることができなかった。

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