イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
走ったせいで癖っ毛の髪がさらにまとまりを失くして、あちこちくるんくるんしている。
校舎裏近くの渡り廊下までやって来ると、外と近いせいか、さっきよりも雨の音は強まっているような気がする。
(……あっ、向葵くんいた……)
渡り廊下の柱に背もたれて、止まない雨をぼーっと眺めている。
向葵くんの姿を見つけただけで一気に緊張が走る身体。
髪の毛を手櫛で整えたあと「ふうーっ」と息を整える。
「…あ、向葵くんっ。遅くなっちゃってごめんなさい…っ!」
私の声に反応した向葵くんは、私に気づくと「あ、結衣ちゃん」とニコリと笑った。
そして少しだけ近づいて来る向葵くん。
「急にメッセージ送ってごめんね」
「あっ……だ、大丈夫…!」