イケメン男子と疑似恋愛⁉︎

傘置き場から自分の傘を見つけると「貸して？」と向葵くんが言った。

バンっと音がして傘が開くと、私においでおいでと手招きをしてくる。

……え？ これってまさか……


「結衣ちゃん、一緒帰ろう」


何の躊躇いもなく向葵くんが提案したのは、“相合い傘”で帰る、だった。

…ええぇぇ！？

いやっ、だってこんな……っ


「これ結衣ちゃんの傘だけど俺も一緒に帰っていいかな？」

「いやっ、えっと…」


困惑する私は、言葉に詰まる。

それを見た向葵くんが何かを早まって「…やっぱりダメかな」と眉をしゅん…と下げる。

……どうしよう。

一緒に帰るっていっても……

……あっ。でも、私たち恋を知るために付き合ってるんだった…

それなら私が過剰に反応しちゃうのはおかしいのかな。