イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
雨が降っているせいで、いつもより気温が低いはずなのに、私の身体は高熱でも出しているかのように熱かった。
ああ……もうっ、どうしよう……っ
恥ずかしさでどうにかなってしまいそう。
雨の音にも負けない鼓動の音が、私の身体の中から聞こえてくる。
もしも、それが向葵くんにも聞こえてたらどうしよう。
そんな不安が私を襲うと、向葵くんから離れようと少し感覚を開けるけど、それに気づいたのかグッと私を引き寄せる向葵くん。
ドキっ──
大きく、跳ねる鼓動。
アスファルトに打ちつけて跳ねる雨水は、容赦なく私たちの靴下をめがけてくる。
このまま帰ったらずぶ濡れになってしまうと考えたのか、不意に「ちょっとあそこ寄ろう!」と向葵くんが言った。
私は、黙って頷いて走った。