イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


公園の三角屋根の下にあるベンチへ避難した私たち。


「うわー、これは当分帰れないね」


雨を見て苦笑いをしながらそんなことを言う向葵くん。

ザーッと降り注ぐ雨は、外の景色さえもかき消してしまうくらいの勢いで、あたりは灰色と化していた。


「結衣ちゃん濡れなかった?大丈夫?」

「あ、うん。大丈夫…」


向葵くんが傘をしっかり持っていてくれたからか、ぐっしょりなっているのは足元だけだった。

かばんから取り出したハンカチで頬や髪の水滴を拭きとる。

……あれ。でも、傘そんなに大きくないやつなのに、どうして私こんなに無事だったんだろう…

──えっ…

うそ……!


「……向葵くん、肩濡れてる…っ!」

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