イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
ドキドキ、ドキドキ──
私たちの周りを張り詰めた空気が充満している。
それに気づいているのは私だけ。
向葵くんは、いつもと同じ。
「……雨、まだ止みそうにないね。」
外を見つめながらポツリと呟いた向葵くん。
その横顔は、とてもかっこいい。
言うなれば、──“水に滴るいい男”。
いつもセットされている髪の毛が、ぺしゃんこになっていて少しだけ幼さを感じる。
不覚にも、きゅんとした。
(……もうっ……。)
雨の音に混じって、謎の大きな鼓動。
私は、それの正体が分からぬまま。
しばらく向葵くんの横顔を見つめていた。