イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


「隣同士だったら教科書忘れても結衣ちゃんに借りれるね」


えっ、それって……


「…わ、忘れる前提?」

「うん。なんかそういうの楽しそう」


そう言うと、隣の机を動かして私の机にぴったりとくっつけると「教科書見せて」と笑いながら言った向葵くん。

……うわっ、この距離はまずい……

思ったよりも近すぎる。

ドキドキしながら机の中から適当に教科書を取り出して、机の真ん中に広げると「あ、ここ落書きしてある」と指を差す向葵くん。


「えっ、あっ…!」


慌てた私はガバッと教科書を取り上げると「結衣ちゃん?」と私を見つめる向葵くん。


「こ、これはダメ!」

首をフルフルと横に振る私。


だってここには、相合い傘のおまじないを奈央ちゃんが書いたから。

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