イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
私、こんなの貸してない。
…それに、このハンカチ真新しい。
ということは──…
「…もしかして向葵くん、これ、買ってくれたの…?」
驚いて、小さくなる声に「…うん。」と照れくさそうに頷いた向葵くん。
「ハンカチ貸してもらったから、そのお礼にと思って選んだんだけど……」
そう言うと、私が手に持っているハンカチを見つめる。
「…俺、女の子が好きそうなもの分からなくて結局、それになっちゃった」
照れくさそうに頭をかく向葵くん。
「……私、ただハンカチを貸しただけなのに……」
「うん。でも、あのときすごく助かったから」
そんなことないよ……
全然、そんなことないのに。
助けられたのは、むしろ私の方だよ。