イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
「…えっ……どうして……」
小さく呟いた、その言葉。
儚く、空に消えていく。
向葵くんと付き合っているのは、私なのに…。
どうしたのって駆け寄りたい。
でも、それを大声で言うことができないのは、私たちがお試しで付き合ってるから。
そんなこと誰にも言えない。
他の女の子たちに知られたらきっと私、怒られちゃう。
どうして付き合ってるのって追求されちゃうよね……
それに、私が向葵くんの元へ駆け寄ったとしても、きっと彼女には見えない。
だって向葵くんの隣にいる女の子の方が、何倍も何十倍も可愛いから。
私、負けちゃう……。
ううん、勝てるところなんて一つも見当たらない。
勝負をする前から結果が分かっているのと同じ、だ。