イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


「…えっ……どうして……」


小さく呟いた、その言葉。

儚く、空に消えていく。


向葵くんと付き合っているのは、私なのに…。

どうしたのって駆け寄りたい。

でも、それを大声で言うことができないのは、私たちがお試しで付き合ってるから。

そんなこと誰にも言えない。

他の女の子たちに知られたらきっと私、怒られちゃう。

どうして付き合ってるのって追求されちゃうよね……

それに、私が向葵くんの元へ駆け寄ったとしても、きっと彼女には見えない。

だって向葵くんの隣にいる女の子の方が、何倍も何十倍も可愛いから。

私、負けちゃう……。

ううん、勝てるところなんて一つも見当たらない。

勝負をする前から結果が分かっているのと同じ、だ。

< 212 / 335 >

この作品をシェア

pagetop