イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
離れゆく心
翌日の放課後。
校舎裏へ向かう足が鉛のように重たい。
できることならこのまま帰ってしまおうかと考えてしまうくらい、今は向葵くんに会うのが怖かった。
……会って何を話せばいいんだろう。
恋が分からないと言っていた向葵くんに、実際は好きな子がいました、なんて言われたら私もう立ち直れる気がしない。
同じ悩みを持つ者同士、今の関係が成り立っているだけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
今まで向葵くんの優しさに触れて、勘違いしてしまっていた私。
……べつに私は、本物の彼女じゃない。
勘違いして本気で向葵くんを好きになってしまったら、きっと、向葵くんは迷惑するだけだもん。
困らせたいわけじゃない。
ただ、恋が知りたいだけなの。
それだけで私は十分だから……。