イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
「三浦くんのこと好きじゃないの…?」
女の子は、気の抜けた声を出す。
私は「…違います。」と小さな声で呟く。
それを聞いた向葵くんは、また、傷ついているようだった。
その顔をみてズキッと心が痛むと、いてもたってもいられなくなった私は、かばんを握りしめてその場から走った。
「結衣ちゃん!」
後ろから向葵くんの声がする。
聞こえてるけど、聞こえないフリをして、私は走るのをやめなかった。
走って、走って、走って。
向葵くんからも、現実からも、逃げてしまいたかった。
息が苦しくて、のどの奥に何かが詰まっているような、そんな違和感を感じながら、無我夢中で私は走った。