イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


「結衣ちゃん、返事聞いてもいい?」


優しく尋ねる向葵くん。

いつも、向葵くんの声に落ち着いた。

言葉が優しくて、向葵くんの隣は安心してしまう。

どうしてなんだろうって不思議だった。

──でも、ようやく分かったんだ。

だって、そう思うってことは、そのときからすでに向葵くんのことが好きだったんだってこと。


「……私、でいいの……?」

「結衣ちゃんじゃなきゃダメなの」

「……ほんとに?」

「ほんとだよ」


私に向けてくれる優しい眼差し。

その瞳に小さく私が映っていた。

それくらい近い距離にいる私たち。


ドキドキとか恥ずかしいとか、もう、そんなの全然考えていなかった。

だって今の私は、向葵くんの言葉でいっぱいだったから。

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