こんな溺愛、きいてない!
「へえ、これが凛花の部屋か」

そう言ってキョロキョロと
私の部屋を見回していた遥先輩が

一点で視線を止めた。


「おっ!もしかして、
あの犬のぬいぐるみが!」


ラブラドールレトリバーの 
ぬいぐるみを見て、

遙先輩が嬉しそうに頬をゆるめる。



「そう、
大切な遥ちゃんが
最後の日にくれた大切なぬいぐるみ。

もう遥ちゃんは、
どこにもいなくなっちゃったけど」


「ここにいるだろ、凛花の目の前に」


もう深いため息以外、
なにも出てこない。


がっくりと視線を落とすと、
しゃがんだ遥先輩が
私の顔をのぞきこむ。


「じゃあさ、昔みたいに、遊ぶ?」


「なにをして?」


「お母さんごっこ的な」


「は?」


と答える間もなく、
トスンとベッドに押し倒された。


「まずは、
子どもから作らないとね?」


目の前には
にっこりと笑っている
遥先輩の顔が迫り。


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