こんな溺愛、きいてない!
「この子、
間違えなく俺の彼女だけど。
証拠もあるし」


抑揚のない冷たい声で
遥先輩が視線を尖らせる。


こ、怖っ……


あれ?

でも、証拠?

そんな書面、つくったっけ?

と思っていると、

身をかがめた
遥先輩の唇が、
そっと私の首筋にふれた。


へ?
なにこれ?

と、思っていると、
つぎに訪れたのは
チクリと首を刺す痛み。


「はい、この子は
俺のものですっていう証拠。
これで分かった?」


すると、遥先輩の前で
体をよじっていた先輩が

真っ赤な口と、真っ赤に充血した
瞳を大きく見開いた。


大蛇(おろち)!


と、叫びそうになって
慌てて口を押さえる。


「へ、へ、へえ。遥先輩くんも、
そういうこと、するんだ。
わりと大胆っていうか!」


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