こんな溺愛、きいてない!
「遥先輩のお友達、こ、個性的だね」


「友達じゃねえし」


ムッとして答えた遥先輩に
ふとさっきの出来事がよみがえる。


あまりに強烈すぎる先輩の存在に
ふわりと受け止めて
いたけれど。


「ん、凛花、どうした? 
意識、とんでる? 大丈夫か?」


「ひ、ひ、ひどい」


「あー、悪い悪い、
あいつ、ちょっと病んでるよな。

あいつに言われたこと、
あんまり気にしないほうがいい。

俺は凛花が世界一、可愛いと
本気で思ってる」


「ち、ちがうっ! その前のこと!
あの先輩じゃなくて、遥先輩!

さっき、首になにしたの?」


「へ? ちょっとチュッてしたけど?」


や、やっぱり……!


「ううっ……
また、勝手なことを…
ファーストキスだったのに……」


「ああ、ごめん、ごめん。
……って。あれ?」


「……ひ、ひっく」


「あのさ、ひとつ、確認していい」


「うっ、うん?」


「俺、首筋に
キスマークつけただけだよな?」


「だけ、じゃない。
首のファーストキス…
だったのに……うっく」


「首の、……ファーストキス? 
そんなの、あったっけ?」


「ひ、ひっく」


涙のにじむ目で
じっと遥先輩を睨みつける。


「わ、悪かったよ、もう!
好きなもの、おごってやるから! 
泣きやめよ」


「う、うう」


「頼むから、泣きやめよ」


< 93 / 288 >

この作品をシェア

pagetop